一九九二年末の時点で、東京と欧米諸国の主要都市(ニューヨーク、ロンドン、パリ、ベルリン)平均との問には約一六%の生計費格差があると報告されているが、もしこの格差が完全に解消するまで日本国内の物価を市場開放や規制緩和によって低下させたならばどのような効果が生まれるだろうか。物価低下による実質所得の増大をつうじて家計の消費支出は年間約五三兆円ふえる。また同時に住宅支出が年ペースで七兆円ふえると推計される。
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こうした消費支出と住宅支出の増加は新たな産業活動を増加させ、またそれは産業連関上の誘発効果をつうじて結局一一〇兆円ほどの生産増加をもたらす。この生産増加によって創出される雇用機会は約八三〇万人分ほどである。これだけの生産増加があれば、当然民間部門で多額の設備投資が行われる事が期待される。過去の経験値を援用すればおよそ一四兆円の投資支出増が見込まれる。これは生産誘発効果をつうじて約三〇兆円の生産増加をもたらし、その結果、新たに一八〇万人ほどの雇用機会が創出される。すなわち、物価低下による経済メカニズムの反応の好循環を活用するだけで、総計一〇一〇万人ほどの新たな雇用機会が創出されることになるのである。