戦後の食料難で豚や鶏は食べられてしまい数が減ったものの、牛は動力源としても重要だったので戦後も減ることがなく増え続けたのである。野山の草を食べさせておけば自然に育ったことも好都合であった。昭和三十年代から農耕が機械化され始めると、使役用としての牛の役目は終わることになる。そして、松坂牛は肉用牛に転換していったのである。古典的なつるの改良とは違って、能力検定を元にした改良が始まる。良好と思われる特定の雄を選び、その子どもを二〇頭ほど肥育してみる。脂肪交雑を確認するために、雄なら六〜七ヶ月で去勢して育てるのだ。そして、肉牛として良い子どもを生産する牛が種雄の候補となる。候補となった種雄牛のストローを繁殖家に提供すれば、何百頭というデータが集まってくる。そうすると、研究レベルでは分からなかった形質がフィールドで確認できることになる。近年は、そうやって品種が改良されてきた。